心の傷の癒し方(治し方)
今回は、心の傷の癒し方について説明したいと思います。
心の傷を癒すのに必要なものは?という問いに、現代ではネットや人伝えに色々な情報を得られてきたかと思います。その中で自己治癒力や自然治癒力という言葉が説明されている内容はあったでしょうか?
心の傷自体に手術はできないですし、薬を飲んでも基本的には治りません。手術が適応ではないことは、なんとなくイメージしやすいかと思いますが、薬についても、少し説明させていただきます。
薬について
薬というのは、今ご自身で日常生活を送るうえで辛いと感じる身体的な症状について、処方されています。
例えば、頭が痛い、胸がムカムカする、眠れないなど、日常生活を送るうえで、困っていることに対して薬の処方がされています。
ここで、問題ですが、心の傷を負ってしまった出来事に対して、薬が過去の嫌な経験を変えてくれるでしょうか?
そんなわけありません。薬はあくまで、日常生活をできるだけ不自由なく生活できる状態に、不快な症状を緩和することが目的となります。
なので、薬は心の傷自体を修復してくれるわけではないし、薬というのは耐性という、長い期間内服すると、効果が薄れてしまい、今までと同じ効力を得るために薬の量を増やさないといけなくなります。
薬には副作用もありますので、必要以上の薬の内服は避けるべきであり、薬の量もできるだけ少ないほうが望ましいと考えます。
では、薬以外でどのように心の傷を修復するのか?
自己治癒力(自然治癒慮力)について
人間にはもともと傷を自然にゆっくりと修復する機能が備わっています。
例えば、転んで膝をすりむいてしまって、血が出たとします。見た目でもわかる、身体の傷ですね。まず出血している状態を血液の中にある血小板が凝固機能から止血をおこないます。そして、傷ついた皮膚から侵入してきた細菌などは白血球の働きによって感染を防ぎます。傷ついた皮膚自体は細胞分裂が進み、新しい皮膚が形成されて、少しずつ元の状態へ修復されます。これが、自己治癒力です。この自己治癒力が低下していると、修復に時間がかかることになります。
心の傷も、身体の傷と同じように、自己治癒力によって少しずつ修復されていきます。目には見えない傷なので、傷の深さが分からず、今の辛い気持ちをすぐに何とかしたいという気持ちになります。しかし、目には見えなくても傷ですので、魔法のように一瞬で治ってしまうような簡単な方法は現時点ではないと考えています。
では、どのようにすると、自己治癒力を上げることができるのでしょうか。
もう少し詳しく自己治癒力について説明すると、人間が本来もつ生命力のことで、時間の経過とともに自然に病気やケガなどを治す力の事です。
代表的な例が、風邪をひいても、水分と睡眠をよくとっていれば、数日で治ってしまいますよね。そもそも、自己治癒力とは崩れてしまった身体のバランスをもとに戻そうとする、人間に本来備わった病気を治す働きです。この自己治癒力のバランスが崩れてしまうと、様々な症状が現れます。
ここで、心の傷の話に戻りますが、私たちにはこの自己治癒力によって、多少のストレスであれば、バランスを戻そうとする働きによって、傷は修復されます。しかい、そのストレスを長期に渡り受け続けることで、自己治癒力のバランスは崩れてしまったままの状態で、心の傷は修復されることなく、傷が深くなってしまいます。また、不眠やめまい、消化器症状、まぶたのけいれんなど、身体の症状となってバランスが崩れているサインを出すわけです。
では、このバランスが崩れてしまった自己治癒力をどのように修復するのかを説明します。
自己治癒力を高める基本的な条件として
正しい呼吸
バランスの良い食事
適度な運動
心の安定
の4つがお互いを支え合い、心身のバランスを保っています。
この心身をバランスを保つこと=自己治癒力のバランスを保つこと
実際に私たちの身体の中では上記の4つのバランスが整うことで自律神経系の一つである副交感神経という心の状態を安定させる働きが活発になります。この副交感神経への働きかけが自己治癒力のバランスを整えて、心の傷を修復させていきます。
ただ、この副交感神経というのは、自分の意志とは無関係には反応し、強いストレスを受けると働きは低下してしまい、身体に様々な症状が現れてしまいます。
ではどうしたら、この副交感神経に働きかけることができるのかを説明します。
これは自己治癒力を高める
基本的な条件である4つを整えることが重要となります。
正しい呼吸とは、深呼吸のことです。強いストレスを受けて緊張が走った時には、背筋を伸ばしてゆっくり深く呼吸しましょう。
バランスの良い食事とは、偏った食事をしないということです。強いストレスを受けると腸内環境が悪化します。食物繊維を意識的に摂取しましょう。また、副交感神経は飲酒の影響を受けやすいので、注意が必要です。
適度な運動は、強いストレスを受けると身体が緊張し、筋肉が硬くなってしまいます。筋肉が固くなると血液の流れが悪くなり、自律神経のバランスが崩れてしまいます。体の緊張をほぐす目的で散歩やウォーキングを定期的に日常に取り入れましょう。
心の安定ですが、自分の好きな香りを嗅ぐことで副交感神経へ強く働きかけることが報告されています。アロマオイルでは香りの種類によって、使用の目的別に分けることもできます。香りは鼻から肺へ、肺から全身へ運ばれますので、副交感神経への働きかけとしては期待できます。
次に温かい飲み物を飲むことで、身体も温まり、リラックス効果が期待できます。また、ストレスで弱っている胃や腸の消化器系を穏やかにする働きも報告されています。心身がリラックスすることで深い睡眠を得ることもできるようになります。温かい飲み物の中に含まれている成分も非常に重要となります。というのも、飲み物は消化器系から全身へ運ばれますので、身体の様々な症状への作用が期待できます。例えば、和漢植物のクコの実は中国では「不老長寿の薬」とも呼ばれていて、ビタミンやポリフェノールなどが非常に豊富に含まれています。西洋ハーブであるチェストツリーでは女性ホモルンの一種であるプロゲステロンの分泌を促す働きがあり、ホルモンバランスの乱れが原因となる月経前症候群(PMS)や更年期障害の症状を緩和する働きが報告されています。日本でも馴染みの深い生姜湯では身体を温める効果があり、抗炎症作用、血行促進の他、糖尿病のリスクを低下したり、生理痛を和らげたります効果が報告されています。このように様々な作用があるものをブレンドして目的別に飲用することをお勧めします。
以上、心の傷の癒し方(治し方)というタイトルで、自己治癒力についての説明と、自己治癒力のバランスのとり方、高め方の説明となりました。
誰しもが心の傷を負うことなく人生を歩んでいきたいと願っていますが、現代社会の中で生きている私たちには自分の意志とは関係なく、心を傷つけられてしまうことが多々あります。その際に、この内容が皆さまの今後の参考にしていただければ幸いです。
