心の傷とは?
今回は、心の傷について、説明したいと思います。心の傷とは?身体の傷と違い、目に見えない傷のため、ご本人もその周囲の方も、その傷に気づくことなく、日々を過ごされているということもあります。
心の傷を調べると「トラウマ」という言葉が検索されます。そのトラウマを医療用語では「心的外傷」と言います。心的外傷という漢字の中に、心と傷が入っていますね。
なので、心的外傷についての説明をすることが、心の傷とは?の説明になるわけです。
心的外傷をウィキペディアで調べると
「外的内的要因により、肉体的及び、精神的な衝撃(外傷的出来事)を受けた事で、長い間それにとらわれてしまう状態で、また否定的な影響を持っていることを指す」と記載されています。
以上の内容をわかりやすく説明していきます。
外的内的要因
この言葉は一般的にはほとんど使われていないので、よく分からないかと思います。心理学で使用されている外的内的要因とは、何らかの問題に対して、その原因が自分にあると考えるか、相手にあると考えるか、ということになります。
現代人は起こってしまった出来事や、自分の行動、他人の行動に対して、なぜそのようなことが起こってしまったのか?というように原因や責任を考える傾向があります。
【例】
職場の人に挨拶したが、返事がなかった…
その時、なぜ挨拶が返ってこなかったのか?と考えてしまうのが人間です。
「自分のことが嫌いなのかな?」「自分の声が小さかったのかな?」と自分に責任があると考えてしまうのを内的要因とよびます。
「相手が気づかなかったんだな」「忙しくて聞こえなかったのかな?」などのように相手に責任があるという考えを外的要因とよびます。
以上により、「外的内的要因より」は、「自分、もしくは他人の原因や責任により」と言い換えることができます。
肉体的及び、精神的な衝動(外傷的出来事)
肉体的な衝動は、自分の体に受けた身体的な傷のことを指します。そして精神的な衝動は、トラウマになるほどの圧倒的な出来事のことを指します。出来事と言っても、直接的に受ける衝動と、間接的に受ける衝動があります。直接的な衝動では交通事故などによる重篤なけがや、暴行される、性被害、死への脅威など、予測していなかった出来事に対する経験があります。また、間接的な衝動では、親族や友人または、他人に起こってしまった生命の危機を目撃してしまう、知ってしまうことで受ける衝動を外傷的出来事とよばれています。
長い間それにとらわれてしまう状態
とらわれているとは?ある出来事がきっかけとなり、自分の自由な考えが妨げられてしまう状態のことです。長い期間、ある特定の考え方しかできなくなってしまった状態のことを指します。
否定的な影響とは
否定的とは、そう思っていることでも、その思いを打消してしまう、そのことを認めない、認められないという意味になります。そのような否定的な影響が頭から離れない状態のことを指します。
以上のことから心的外傷について、わかりやすい言葉でつなげると、「
自分もしくは他の人から、身体もしくは、ずーっと考えてしまうような不快な出来事を受けてしまったことで、その後の人生に自分の自由な前向きな考え方ができなくなり、ネガティブな考え方しかできなくなったしまった状態」を心的外傷、つまり心の傷と説明できます。
でも、まだ少し説明が難しいと思いますので、私なりの心の傷の解釈を説明させていただきます。
そもそも人間というか生き物は、生き延びるために、強い相手から逃げるための反射的な防御機能が備わっています。それは過去に経験した危険な体験から、反応するように体に備わっているものです。
例えば、シカがライオンから襲われないように、過去に群れが襲われた時の状況を記憶しておき、その状況と近い環境を感じたときに、無条件でその場から離れるような警戒心が備わっています。さらに、人間にはそのイメージを過剰に膨らませる能力があるため、必要以上に警戒心などの疑いが増幅してしまう場合があります。
例えば、女性の場合で過去に、付き合っていた男性を他の女性に奪われたという経験があったとすると、今付き合っている男性の近くの女性を必要以上に警戒したり恐れたりすることがあります。
これらは過去の危険な経験から得た反射的な行動であるといえます。
このように、心の傷は過去に感じた不快な思いや身体的な痛みから受けた感覚的な傷であり、目には見えない傷であり、今現在にその事象が発生していなくても、過去の記憶が無意識的に引っ張り出されて、傷を受けたときと同じような感情の変化が現れ、ネガティブな思想が繰り返されます。
以上が、私なりの心の傷の説明となります。